地デジもナビくよ!!ファイターズ
♪スカパーがやらなきゃ誰がやる♪・・・プロ野球全試合完全生中継!!
お馴染みカトゥーンのCMである。この作品には、2つの懺悔が隠れている。
エクスキューズ・・・その一。
配役である。CMキャラのカトゥーンがエクスキューズの第一。
ナイターかその裏のカトゥーンか、オヤジと娘がチャンネル争いを決まって繰り返すのは、金曜日の午後8時台と相場が決まっている。しかし、親子バトルがこのCMで煽られるのは我が家だけだろう。カトゥーン支持派は主に少年少女。計算出来ないプロ野球指向予備軍である。不毛の砂漠に水やりをしている啓蒙精神が、この配役に見え隠れする。むしろ、巨人戦の視聴層に抵触させない苦肉の策で、軒を借りる地上波に配慮を示したと見ることが出来る。
エクスキューズ・・・その二。
最後の落ちである「ボーク!!」。
数ある野球の感動シーンから厳選された場面では、まずない。少なくとも視聴を促す番組宣伝において「ボーク!!」はないだろう。CMプランナーが企画を捻ったと穿った見方も出来るが、これは明らかにエクスキューズに謙譲の意味合いが込められたものだ。全試合完全生中継がスカパーのボーク、即ち勇み足だとして、地上波の矛先をかわす狙いが垣間見えるのだが、如何だろうか
実は、こうして庇を貸した地上局が母屋を取られる危機に瀕しているのだ。勿論大袈裟な見解であることはお断りしておく。しかし、巨人戦の視聴率が、あの開幕ダッシュにも関わらずまったく振るわないのである。二桁割れが常識になってしまった。
ちなみに、ゴールデンウィークの6日に、仙台で江尻が先発した楽天戦の視聴率は9%台を維持した。この前後の巨人戦のカードとこれが何ら遜色無し。むしろデーゲームだった日ハム・楽天戦の数字が凌駕したと言える。
江尻と言う男、札幌ではいざ知らず、仙台では視聴率男である。初めての故郷先発となった昨年の7月2日は10,6%。ペナントレースのデーゲームで、二桁台を記録することは、そうめったにあることではない。二度目の今年も5月6日に9%台だ。
しかし、高視聴率で膨らんだ汚名を未だ仙台で晴らしていないのも、また事実である。
時あたかも仙台ニ高一高定期戦が火蓋を切った5月13日。
セパ交流戦対ベイスターズ2回戦に先発した江尻は、打者27人に対して7回0/3を投げ、投球数104・被安打7・奮三振2・与四死球1・失点1の快投を見せてくれた。コーナーを抉る多彩な変化球で、相手を翻弄したのが勝因であった。ノーアウトのランナーを出したのは、交代時の8回だけ、それもレフト森本の限りなくエラーに近いプレーが発端だった。完璧に近い投球で一点差を守りきった江尻に、チームが一丸となって勝利をプレゼントしてくれた。結果3対1でファイターズの3連勝。江尻も4勝目をゲットした。
昨年の完封劇と言い余程ベイスターズとは相性がいいのか。そう言えば、去年も定期戦と重なった。同じ日にそれぞれのドラマを作った江尻と後輩達、野球の原点を共有している証だ。今年も天の配剤に感謝しよう。
後輩達の負けは帳消しでいいではないか。
平成18年5月13日 斉藤 茂